【女性ソムリエが教える】スパークリングワインの選び方

女性ソムリエ監修

山下 美月

ワインインポーターを経て、現在出版社に勤める。好きなことは、人をワインに例えること。ソムリエ、管理栄養士。

スパークリングのおすすめな選び方

食事に合わせやすく、プレゼントやお祝い事にもぴったりなスパークリングワイン。

クリスマスなどのイベントにあわせて飲むワインを探している人も多いのではないでしょうか。

そうは言っても、数多くあるスパークリングの中であなたの探しているぴったりなスパークリングを選ぶことはなかなか難しいもの。

しかしちょっとしたコツを知っていれば、よりシチュエーションに応じたスパークリングを選ぶことができます。

そもそもスパークリングとシャンパンの違いとは?

お祝い事や良いことがあったときなど、「今日はシャンパンを開けよう!」なんてフレーズを聞いたことはありませんか?

なんとなく良いスパークリングだろうな、という印象がありますが、スパークリングとシャンパンの違いは何しょうか。

よく高級スパークリングの代名詞として認識されているシャンパンですが、シャンパンとはフランスのシャンパーニュ地方で造られたスパークリングで、スパークリングは泡ワインの総称となります。

シャンパンは、土地の他に醸造方法や使用のブドウ品種にも指定があり、厳しい規定をクリアしたワインのみがシャンパンを名乗れます。

良いワインの代名詞として使われることもあり、意味が混同して使われてしまっていることもありますが、レストランなどで「イタリアのシャンパンください」などと言ってしまわないように注意が必要ですね。

スパークリングの「醸造方法」で選ぶ 

スパークリングを選ぶ上で最も重要となってくるポイントが、醸造方法の違いです。醸造方法によりスパークリングの味わいの要となる泡の質が異なり、ワインそのものの質、味わいにも影響してきます。

一概には言えませんが、高品質のワインほど泡がきめ細かく、カジュアルなワインほどパチパチとした大粒の泡となります。

様々な醸造方法がありますが、大別すると下記の3つです。

トラディショナル方式

シャンパーニュ方式、瓶内二次発酵方式とも呼ばれている方式です。名前の通り、シャンパーニュで使用されている方式ですが、イタリア、ドイツ、スペインなど各国でも採用されています。

最も本格的なスパークリングの醸造方法で、一次発酵、二次発酵共に瓶内で行うのが特徴です。

手間暇がかかってしまう方法ですが、よりきめ細かい泡となり、質の高いスパークリングとなります。

シャルマ方式

市場に出回っている多くのワインが、この方式で造られています。

タンク内二次発酵方式とも呼ばれ、その名の通りタンクの中で二度目の発酵を行います。フレッシュなアロマを残せるだけでなく、コストも抑えられるところが魅力です。

炭酸ガス注入方式

人工的に炭酸ガスを注入してスパークリングにする方法です。コーラやジンジャーエールなどの泡を想像するとわかりやすいですね。

低コスト、かつ短時間でスパークリングにできるため、低価格のワインに使用されることがあります。

安価なイメージがあるため、オフィシャルな場での使用はあまり好まれないものの、パチパチとした元気な泡が楽しめるので、カジュアルなパーティ感を楽しむ場などには良いかもしれません。

炭酸ガスを注入していることもあり、他のスパークリングと比べて早く泡が抜けてしまうため、早飲みがおすすめです。

「醸造方法」は「ワインの名称」からわかる! 

南アフリカ、キャップクラシック

醸造方法がスパークリングにとって重要とわかったものの、残念ながらラベルを見ても醸造方法は記載されていません。

そのようなときに参考となるのが「ワインの名称」です。

シャンパーニュ地方で造られたトラディショナル方式のワインがシャンパンと呼ばれるように、各国でもシャンパンと同じ方式で造られるワインがあります。

高級スパークリングの基準となる、トラディショナル方式(シャンパーニュ方式)で造られるワインは以下の通りです。

呼び名
フランス
クレマン(シャンパーニュ地域以外)/ Cremant
スペイン
カヴァ / Cava
イタリア
フランチャコルタ / Franciacorta
ドイツ
ゼクト / Sekt
南アフリカ
キャップ・クラシック / Cap Classique

これらは「カヴァ○○」「フランチャコルタ○○」のようにワイン名に記載されていることが多く、一つの判断基準となります。

記載必須項目ではありませんが、ラベルにも記載されていることが多く、ぜひ確認してみることをおすすめします。

※南アフリカのキャップ・クラシックはワイン名、ラベルに記載されていないことが多いです。 

ちなみにフランスではシャンパーニュ地方で造られたスパークリングをシャンパンと呼びますが、フランスの他の地方で造られたトラディショナル方式のワインをクレマンと呼びます。

またこのクレマンも細分化されており、ボルドーで造られたクレマンをクレマン・ド・ボルドー、ブルゴーニュで造られたクレマンをクレマン・ド・ブルゴーニュ、ロワールで造られたクレマンをクレマン・ド・ロワールなどと呼んでいます。

これらのスパークリングは、シャンパンと同じ醸造方法をとっていながら価格もシャンパンより抑えめで購入することができるため、クオリティは高く、しかし価格は抑えめで購入したい人におすすめです。

国ごとに異なるスパークリングの名称 

同じスパークリングでも国ごとにスパークリングの名称が異なります。

呼び名
フランス
ヴァンムスー / Vin Mousseux
スペイン
スプマンテ / Spumante
イタリア
エスプモーソ / Espumoso
ドイツ
シャウムヴァイン / Schaumwein

レストランのワインメニューで「ヴァンムスー」「スプマンテ」などが書かれているのを見たことがある人もいるかと思いますが、「ヴァンムスー」はフランスのスパークリング、「スプマンテ」はイタリアのスパークリング、という意味です。

名前だけ見ると、いったいどのようなワインだろうかと思いますが、意味を知ってしまえば簡単ですね。

シャンパンをヴァンムスー、フランチャコルタをスプマンテと名乗っても間違いではないのですが、わざわざ広域な名称を名乗る必要はありません。

よってここに属するワインは、市場によく出回っているシャルマ方式のスパークリング、瓶内二次発酵にて醸造されていないスパークリングが含まれます。

ワインメニューなど国の記載がないときもあるので、覚えておけば役に立つ情報ですね。

炭酸ガス注入方式で造られたスパークリングの見極めは価格

ここまで来れば、あと気になるのは炭酸ガス注入方式のスパークリングの見極めです。

醸造方法は必須記載事項ではないため、残念ながらラベルやワイン名を見ても記載がされておらず、また公式HPで確認をしてもあまり明記されていない場合が多いです。

そのようなときに判断基準となるのが、価格となります。

一般的に、時間や費用の面からシャンパンなどで使われるトラディショナル方式で造られるスパークリングがコストも高くなり、次にシャルマ方式、炭酸ガス注入方式と続きます。

ざっくりとした目安ですが、1000円以下のスパークリングなど、たまに炭酸ガス注入方式で造られているものを見かけます。

決して1000円以下のスパークリング、炭酸ガス注入方式が悪いという意味ではありません。

むしろ喉が渇いているときなど、シャンパンのような滑らかな泡のスパークリングよりも、元気で快活な泡がある炭酸ガス注入方式のスパークリングをぐびっと飲んでも良いでしょう。

価格が高いから美味しいワイン、価格が安いから美味しくないワイン、ではなく、シチュエーションに合わせてワインをぜひ選んでみてくださいね。

スパークリングの「甘辛度」で選ぶ

ブリュットタイプのロゼスパークリング

白ワインもは「甘口」「辛口」のタイプ分けができますが、スパークリングワインでも同じく、「甘口」「辛口」度合いでタイプを分けています。

ただ異なるのは、白ワインはメーカー、もしくはワイナリーの客観的な判断で「甘口」「中辛口」「辛口」など表示を決めますが、スパークリングでは残糖度によって厳密に分けられています。

残糖度 呼び名
3g/ℓ未満
ブリュット・ナチュール(ブリュット・ナチューレ)、パ・ドぜゼ、ドサージュ・ゼロ
6g/ℓ以内
エクストラ・ブリュット
12g/ℓ以内
ブリュット
12~17g/ℓ
エクストラ・ドライ
17~32g/ℓ
セック(セッコ)
32~50g/ℓ
ドゥミ・セック(ドゥミ・セッコ)
50g/ℓ以上
ドゥー(ドルチェ)

※フランスではセックですが、イタリアではセッコと呼ばれたり、国ごとに読み方が異なります。 

この甘辛度は、記載必須項目ではありませんが、ラベル、もしくはワイン名に記載されていることが多くあります。 

たとえば、幅広いお料理に合わせるときは酸味のある辛口のスパークリングが合わせやすくペアリングに最適です。
一方、デザートのような甘味のあるものには、辛口のスパークリングを合わせると酸味が際立ってしまうので、同じような甘口のワインがおすすめです。
ラベル表示を確認しながら、お料理に合わせてワインを選んでみるのも素敵ですね。

「ヴィンテージあり」と「ヴィンテージなし」で選ぶ

ヴィンテージあり(2014年)

スパークリングのラベルには、「NV」という表記がされているものが多くあります。

これはノン・ヴィンテージの略で、その年のヴィンテージに限らずブレンドされて造られている、という意味になります。

赤ワインや白ワインにはなかなか見られないスパークリングならではの造り方で、様々な年のブドウをブレンドすることによって安定した味わいを提供しています。

たまにヴィンテージありのスパークリングがありますが、敢えてその年のブドウだけで造ったという訳ですから、こだわりの逸品になります。

良いヴィンテージのときに造られることが多く、NVよりも高級品であることが多いです。

いつもの好きな味わいを選ぶ場合はNV、その年の特徴を楽しみたい場合はヴィンテージありを選んでみると良いですね。

ブドウ品種で選ぶ

ブラン・ド・ブラン

多くの場合、白ワインは白ブドウから、赤ワインは黒ブドウから造られますが、スパークリングワインは赤白どちらのブドウからも造られます。

ラベルによく記載されている、「ブラン・ド・ブラン」と「ブラン・ド・ノワール」は、どちらのブドウで造られたかを明記するもので、「ブラン・ド・ブラン」は白ブドウで造られたスパークリング、「ブラン・ド・ノワール」は赤ブドウで造られたスパークリングを示します。

赤ブドウから造ると言っても、赤ワインのように果皮を漬け込むことはありません。しかし、赤ブドウのニュアンスが少し加わり、ブラン・ド・ブランよりブラン・ド・ノワールの方がよりしっかりとボディがあり、重厚感のある味わいとなります。

さっぱりとしたスパークリングを飲みたいときは「ブラン・ド・ブラン」、ボディ感のあるスパークリングを飲みたいときは「ブラン・ド・ノワール」を選んでみましょう。 

まとめ

いかがでしょうか。一見同じように見えるスパークリングも、価格も味わいも驚くほど幅広く、様々なシチュエーションで活用できます。

また、ワインショップなどでスパークリングを選ぶときは、ラベルの内容を見て判断することができますが、レストランなど情報がワインリストだけであった場合も大丈夫。ワイン名を見ればある程度どのようなスパークリングかわかるので、知っているだけで食事のバリエーションも広がります。

スパークリングが大活躍するこの季節、ぜひぴったりなスパークリングを楽しんでください。

ラッカアフリカでお取り扱いのあるスパークリング

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