ルワンダ伝統壁掛けアート「イミゴンゴ」の魅力

ラッカアフリカの伊関です。

9月5日~9月10日、代々木上原のhako galleryにてImigongo tokyo ルワンダの伝統壁掛けアート「イミゴンゴ」の展示会が開催されました。

イミゴンゴの魅力をレポートにしてお届けいたします。

主催は加藤雅子さん

イミゴンゴ展主催はCultural Capital Rwanda R&D ltd.代表の加藤雅子さんです。

数年前にルワンダの首都キガリに移り住み、このアートに出会い、自ら調査を実施し、展示会のためにクラウドファンディングで資金調達し、物流の壁を乗り越え、今回の展示に至ったといいます。

イミゴンゴ(Imigongo)とは

ルワンダ発祥の伝統アートの一種です。 

イミゴンゴの原材料は子牛の糞。

指先で少しずつ板の上に乗せながら幾何学模様を作っていきます。

お家をより素敵に装飾するため、1800年代前半に当時の王子様カキラが始めたと言われているアートで、もともとは壁や柱に直接デザインを施していました。

このカキラ王子には面白い逸話があります。

潔癖症で知られ、家族とも器やカップを共有せず、自分の持ち物が汚れぬよう保管する専用の小屋を立てたりしていたそうです。

雨が降ってぬかるみができると乾くまでずっと岩の上で待っていたとさえ言われています。

イミゴンゴの名前の由来はいくつかあるそうです。

発祥地ニャルブイェ(Nyarubuye)エリアにあるミゴンゴ山(migongo)がその名の元になったという説もあります。

イミゴンゴの名前は現在のルワンダ語だけでなく古語表現も多く含まれ、今なお調査が進められており、その柄や歴史など関連する分野で、これから新しい解釈が出てくる可能性があると言われています。

一つ一つの柄に込められた意味

イミゴンゴの魅力はその美しく大胆な幾何学模様にとどまりません。

実は柄ごとに名前と意味があります。

例えば、展覧会のポスターにも採用されているこちらの柄は「奇跡」を意味し、Itangaza(イタンガザ)という名前です。

神の力による信じがたいポジティブな出来事を指すと言います。

これらの意味は書物にまとめられているわけではなく、人々の間で共有されている口承に近いもので、現地の研究者と加藤さんが共同調査を実施して、紐解いていったそうです。

ここからは、展示会場に飾られていた素敵なイミゴンゴをいくつかご紹介します。

「美しく仕上げること」

柄の名は、Amatana(アマタナ)。

gutana(動詞:美しく仕上げる)に由来。

 「互いの背景が違うことにより相互理解が難しいもの」

Ishobe(イショベ)。

gushobera(動詞:当惑させる)に由来。

「盾」

Ingabo(インガボ)。

ものの形をかたどって描かれた文字である象形文字のような柄もあります。

漢字でいう山や木がこれにあたります。

「狩猟後の獲物」

Umuhigo(ウムヒゴ)。

王様のベッドの下に敷く敷物の意とも言われます。

「行き先が定まらずくねくね進む様子」

Nyamuraza(ニャムラザ)。

黒や白だけでなく、赤やグレーなどの色も用いられます。 

イミゴンゴの発展系

 

伝統的なイミゴンゴは黒と白のコントラストですが、最近のアーティストは様々な色を多用し、具象的で、ストーリー性ある図像を取り入れています。 

無限の可能性、それがイミゴンゴ

かつて、日本には浮世絵とそれを支える浮世絵師がいました。

江戸末期には、横浜が貿易港として開かれ、異国風物が江戸の目と鼻の先に突如立ち現れ、人々の関心を呼びました。

江戸の版元は競って浮世絵師に異国情緒を描かせ、横浜絵として流行り、長崎には長崎絵が興りました。

浮世絵師が持つ伝統的な絵画の技法と、異国というテーマや写実性、遠近法などの西洋の技を大胆に取り込んでいき、江戸時代〜明治にかけて進化を遂げていきました。

明治以後も創作版画というムーブメントを経て、棟方志功や池田満寿夫といった世界でも知られる版画アートに発展していきました。

彼らは文学の詩句をモチーフにしたり、人間の内面に深く入り込むような作品を生み出し、鑑賞者に想像を求め、結果として、アイデンティティをもたらしたのだろうと思います。

一見、イミゴンゴは日本の絵画とかけ離れた話に思えますが、私は同様の大きな発展の可能性を感じます。

子牛の糞という原材料を用いた、シンプルで大胆な幾何学模様という独自性。

インターネットという"横浜港"は常に現地の人に開かれ、新しいテーマや技術には比較的容易に接触できるようになりました。

強烈な個性が世界に開かれ、ルワンダ人自らがその内面をさらに押し広げるとき、無限の可能性がそこにはあると感じます。

最後に、私自身の家に飾るために会場でイミゴンゴを購入しました。

「美しく仕上げる」という意味が2つ並んだ柄で、「美しくなるようにより良くしていく」というクラフトマンの心意気が込められた意味と聞きました。

ラッカのデザイナー2人もその美しさや意味を知って、これがいいと満場一致で買いました。

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