【女性ソムリエ厳選】初心者にもおすすめな白ワイン5選

女性ソムリエ監修

山下 美月

ワインインポーターを経て、現在出版社に勤める。好きなことは、人をワインに例えること。ソムリエ、管理栄養士。

はじめに赤ワインと白ワインの違いを知ろう

赤ワインには赤ブドウ、白ワインには白ブドウが使われることが多く、それも赤ワインと白ワインの違いの一つにありますが、大きな違いとしては醸造方法が異なります。

生産者のこだわりや醸造過程の違いはあるものの、ざっくりとわけると赤ワインは果皮や種子と一緒に発酵してからブドウジュースを造りますが、白ワインは果皮や種子をとってから発酵させます。

つまり、赤ワインには果実に加え果皮や種子が加わっているのに対し、白ワインは果実の要素が多いということになります。

食用ブドウを食べていて、果皮や種を噛んだときに苦いな、と感じたことがあるかと思いますが、これが赤ワインのタンニンとなります。

食用ではなかなか食べることのない果皮や種子ですが、ワインとなると味わいの広がりをみせてくれる素晴らしい要素のひとつです。果皮や種子の他に、果梗(かこう)を加える生産者もいます。

ちなみに話題にもなっているオレンジワインは、赤ワインの醸造方法で造られる白ワインです。定義がいくつかあるオレンジワインですが、造り方としては、白ブドウを使って赤ワインのように果皮と種を一緒に発酵させます。

そのため、白ワインなのにタンニンやボリュームを感じる味わいになっています。

白ワインのおすすめな選び方

白ワインはキリッと辛口のワインもあれば糖度の高い甘口ワインもあったり、アルコール度数が高いものもあればビールやカクテルと同じくらいの低いものもあったりと、選ぶポイントを知っていれば自分の好みに合わせて幅広いワインを楽しむことができます。

赤ワインが苦手という方でも白ワインは好きだという方も多く、ぜひチェックしてみてください。

白ワインの味わいを示す、「甘口」か「辛口」で選ぶ

白ワインの味わいの判断基準のひとつとして、「甘口」「辛口」があります。

その名の通り、「甘口」は甘みを感じる白ワインで、「辛口」は甘みをあまり感じないドライな白ワインになり、ラベルの裏面によく記載されています。

甘口辛口の数値基準はなく、この表記はメーカー、もしくは輸入元が判断して記載していますが、だいたいブドウジュースくらいの甘さのものを甘口、しっかりとドライのワインを辛口と呼びます。また、その中間のワインは「中辛口」という表記がされているものもあります。 

また、デザートワインと呼ばれる甘口より更に甘いワインは「極甘口」となり、はちみつのようなとろりとした甘さがあり、その名の通りまさにデザートにぴったりです。

貴腐菌を付着させることで糖度を高める貴腐ワインやハンガリーのトカイワイン、ブドウを凍らせて造るアイスワインなどがこれにあたります。

通常の完熟ブドウを使ってはなかなか「極甘口」ワインは造ることができず、水分量を少なくし、糖度を高めたブドウを使うことがほとんどです。

甘辛表記でわかることは、これだけではありません。一概には言えませんが、ブドウの発酵時に糖分が消費されるため、甘口のワインはアルコールが低く、辛口のワインはアルコール度数が低い傾向にあります。

アルコール度数が12〜15度前後のイメージのあるワインですが、甘口ワインの中には10度を下回るワインもあり、お酒があまり強くない方や女性の方などにもおすすめです。

白ワインの原料、白ブドウの「品種」で選ぶ

シャルドネ

白ワインを代表するブドウ品種で、世界各国で生産されています。産地の環境、土壌の特徴であるテロワールをよく反映するブドウなので、生産される国やテロワールによって様々な味わいを持ちます。樽との相性がとても良く、樽を使ったリッチなシャルドネワインを「樽シャル」とも呼び、樽由来のバニラ感やナッツ感を楽しみたい方にもオススメです。

冷涼産地で造られるシャルドネは、レモンや青りんごのような爽やかさと酸味を持ちあわせており、すっきりとした味わいです。一方、温暖な地域で造られるシャルドネは洋梨やパイナップルのような、ふくよかでボリュームのある味わいで、テロワール差による味わいの幅と豊かさに驚かされます。

色々な地域の飲み比べが楽しい品種なので、ぜひ自分の好みを見つけてみてほしいブドウ品種です。

ソーヴィニヨン・ブラン

フランスやニュージーランドなどで多く栽培されているブドウ品種で、ブレンドではなく単一品種で造られることが多いブドウ品種です。

特徴がしっかりとしており、草原で空気をゆっくりと息を吸ったときのような、爽やかな草のようなニュアンスがありますが、ブドウを熟成させるとこの青みが少なくなり、完熟させて収穫したブドウはトロピカルフルーツのような華やかな風味にもなります。

どちらのタイプも爽やかで綺麗なワインなので、暑い日にすっきりとしたワインを飲みたい、前菜や軽い食事にも合うワインが欲しい、そんなときにぴったりのワインです。 

リースリング

ドイツで有名なリースリングですが、世界各国でも生産されています。

辛口から極甘口まで生産されており、幅広い顔を持つのも魅力の一つです。

辛口のリースリングは綺麗な酸を持ち、キリッと引き締まったような印象を持つワインです。一方、甘口のリースリングは酸味が優しく甘やかな味わいです。甘口はアルコール度数が低いワインが多く、ワイン初心者の方やドライな味わいが苦手という方にもオススメです。

幅広い料理に合わせやすい万能ワインなので、1本あるととても便利で重宝してしまうワインです。 

シュナン・ブラン

フランスのロワールや、南アフリカで多く生産されているシュナン・ブラン。

フランスではやや高めの温度で発酵され、リンゴや白い花のような香りを持つ、ニュートラルなタイプが生産されます。

特にフランスのロワールなどでは、辛口白ワインでは珍しく熟成させたバックヴィンテージのシュナン・ブランも造られており、蜂蜜や花梨のようなとろりとしたニュアンスも兼ね備えています。 

一方、南アフリカなどのニューワールドでは低温で発酵されることが多く、南国フルーツのようなジュージーさと瑞々しさが特徴。フランスと異なり熟成はさせず、フレッシュさを楽しむことが多いです。

フレッシュなものがあれば熟成させているものもあったり、同じ品種であっても産地によって幅広い顔をもつブドウ品種なので、その違いをぜひ楽しんでいただきたいブドウです。 

甲州

日本固有のブドウ、甲州。湿気の強い日本ではブドウ造りは不向きとされてきましたが、甲州は病気にも強く高品質なワインを生み出し、2010年には山梨甲州市で原産地呼称の認定制度も導入されました。近年の和食ブームの影響もあり、国内だけでなく国外からも注目されはじめています。

味わいは甘味も酸味も柔らかくニュートラル。透明感があり優しくおだやかで、繊細な素材を活かしたお料理にもそっと寄り添ってくれます。

和食に合うワインは様々ありますがやはり甲州と合わせるとぴったりと合い、これ以上ないマリアージュを楽しめ、日本人には欠かせないワインです。

白ワインの「産地」で選ぶ

フランス

ワイン界きっての伝統国フランスでは、古くからの著明なワインが多く生まれていますが、やはり有名なのはブルゴーニュです。シャブリ、ムルソー、モンラッシェなど数々の人気なワインがこのブルゴーニュで生産されています。王道中の王道とも呼ばれるワインたちが名を連ねており、自分で飲むワインはもちろん、贈答用やお持たせのワインとしてもオススメです。ワインリストの定番アイテムとしても並んでいるので、好みの味を覚えておくのも良いですね。

一見和食などはワインと合わせにくそうに思われがちですが、シャブリはミネラル感が特徴で、天ぷらや寿司などの和食にも合うので重宝されています。

ブルゴーニュの白ワイン代表とされるムルソーやモンラッシェは、どちらもリッチな樽感を感じるシャルドネとなっています。モンラッシェは樽を形作る際に火で炙って作りますが、ムルソーは樽を蒸して作るため、一般的にモンラッシェの方が樽感のつきやすい傾向にあります。どちらも品質の高い上質なワインですが、樽感のしっかりした白ワインが好きな方はモンラッシェ、樽感はそこまでという方はムルソーがおすすめです。 

イタリア

20州全ての州でワインが生産されているイタリア。国際品種はもちろん、地ブドウも多く生産されています。赤ワイン同様、北の冷涼産地では綺麗でエレガントなタイプが造られ、南の温暖地域にいくほどフルーティなタイプが造られています。

イタリアを代表するワインと言えば「ソアーヴェ」が有名です。イタリア赤のように高級ワインの代名詞、というイメージはソアーヴェにはありませんが、料理にも合わせやすく、馴染みやすい上に、万人受けしやすい丸みのある味わいがあり、デイリー用として自宅にストックしておくワインとして非常におすすめです。

北のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州など高級産地もありますが、全体的にイタリアの白ワインは親しみやすくてカジュアルです。現地では水よりワインの方が安いと常に食卓に並んでおり、より日常に馴染んだ飲み物となっています。

よく消費されているブドウはユニ・ブランやマルヴァジーアなどで、優しくフルーティな味わいが魅力です。 

ドイツ

白ワインの生産国として名高いドイツ。赤ワインより白ワインの方が生産量の多い稀な国です。特に輸入ワインなど、日本に入ってきているワインに関しては白ワインの方が圧倒的に多いでしょう。

また、その他にもエクスレ度と呼ばれる残糖度を基準とした甘辛表記も表記されており、甘口から辛口まで幅広い白ワインを楽しむことができます。

ドイツワインは甘いというイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、それもそのはず。ドイツのポピュラーなワインである、聖母の乳という意味の「リープフラウミルヒ」や、黒猫ラベルの「シュヴァルツェ・カッツ」などは、軽い口当たりの甘やかなワイン。アルコール度数も低めで、強いお酒が苦手な方や、デザートにもぴったりです。今からの季節、クリスマスに食べるケーキなどにも非常に合い、大活躍間違いなしのワインです。

南アフリカ

白ワインに限らず赤ワインにも共通することですが、やはりコストパフォーマンスの高さと自然派の造りです。

ケープドクターという南大西洋高気圧の影響で発生する強風によりブドウの健康を守る環境が揃っているだけでなく、自然保全もしっかりとしており、南アフリカのワインは、より人に優しいワインです。ソムリエ仲間とも、南アフリカのワインは二日酔いがない、などと言いながらいつも飲んでいる産地です。

南アフリカの白ワインと言えば、選ぶならばやはりシュナン・ブランでしょう。

しっかりとした酸味を持つためアルゼンチンやアメリカなどでブレンド用に使用され、栽培量は多いもののメインのブドウ品種として使用されることが少ない品種でしたが、南アフリカで成功してからイメージが一変。南アフリカを代表する品種となっており、今やシュナン・ブランと言えば原産国のフランスより南アフリカの方がイメージがあるという方も多いのではないでしょうか。

南アフリカのシュナン・ブランの魅力は何と言っても安くて美味しい。これに限ります。そして熟した瑞々しい果実をかじったときのような果実酒らしいジューシーなフレッシュさが特徴です。

ただ南アフリカのシュナン・ブランも多様化しており、フランスではあまり見られなかった樽を使用したワインや、古樹から造られるワインも生産されています。

幅広い顔をもつシュナン・ブランをぜひ飲み比べてみてください。 

初心者にもおすすめな白ワイン5選

J・モロー・エ・フィス シャブリ / 辛口 / シャルドネ / フランス

1814年設立の伝統的なワイナリーで、シャブリで唯一の女性醸造家の造るワインです。

今では主流となっているステンレス発酵ですが、当時少なかったステンレス発酵をすぐに取り入れた先駆者的ワイナリーでもあります。

造り手が女性ということもあってかシャブリの中ではとても繊細でフレッシュ。切れ味の良い酸味を持ち、和食にもってこいのワインです。

繊細な料理であっても味わいを邪魔することなく寄り添ってくれるので、前菜から使えるとても万能な1本です。 

カルヴァリーノ ソアーヴェ クラシコ / 辛口 / ガルガーネガ、トレッビアーノ / イタリア

ソアーヴェの生産者の中でも、頭一つ抜きんでてきる生産者ピエロパン。

そのピエロパンが造るソアーヴェ、「カルヴァリーノ ソアーヴェ クラシコ 」は、数々のコンクールや評価誌でもハイスコアをたたき出しているソアーヴェ最高峰を誇るワインです。

単一畑で、樹齢30年〜60年のブドウから造られる味わいは、とてもクリーンで清々しく、キレの良いスタイルです。そして凝縮したコクと旨みもあり、飲んで一口で本物と感じる圧倒的なスケール感に魅了されます。

イタリアを代表するソアーヴェ、そしてソアーヴェを代表するピエロパンのワインをぜひ飲んでみてください。 

ゲオルグ・ブロイヤー  ソヴァージュ リースリング トロッケン / 辛口 / リースリング / ドイツ

透明感のあるすっぴん美人ワインと言えば、このドイツのリースリング、ゲオルグ・ブロイヤーが造る「ソヴァージュ リースリング トロッケン」です。今やワインと言えば、ボルドーやブルゴーニュの赤ワインが銘醸ワインとして名を連ねていますが、数十年前はドイツの白ワインこそが堂々たるワインの代名詞として君臨していました。昔からのワインショップに行くと今も変わらずドイツワインが豊富に揃えられていることがあります。このワインは、その当時のドイツを彷彿させるにふさわしい風格を持ち、無駄な装飾をせず、素材の美しさを好む日本の人々にもとても好まれる味わいです。

価格もカジュアルで手の届きやすいワインですが、パリの三ツ星レストランにもオンリストされているワインで、家の食卓に並べるだけで普段の食事をちょっとリッチに演出できます。

クラインザルゼ ヴィンヤードセレクション シュナン・ブラン / 辛口 / シュナン・ブラン / 南アフリカ

1695年からワイン産地としてブドウ栽培されてきた歴史あるワイナリーで、現オーナーになってからはさらに数々の賞を受賞し、飛躍的な成長を遂げている今や南アフリカを代表する注目の造り手です。 

南アフリカのシュナン・ブランと言えば、原産地のフランスに比べステンレスタンクで造られたフレッシュで早飲みタイプのワインが比較的多いですが、このクラインザルゼはそうとは限りません。

白桃やライチ、洋梨のような完熟したフレーバーに樽由来のバニラのニュアンスも加わり、とてもリッチでコクのある豊かなワインで、南アフリカのシュナン・ブランの印象が一変するポテンシャルを持ちます。

白ワインには珍しく長期熟成に耐えうるワインで、3年ほど熟成させても良いでしょう。

グレイス甲州 / 辛口 / 甲州 / 日本

日本の甲州を飲むならば、やはり人気のグレイス甲州。日本国内だけでなく、有名なワインジャーナリストのジャンシス・ロビンソンも「日本を代表するワイン」とグレイス甲州を紹介するなど、海外からも指示されています。

フレッシュでクリアな味わいで、甲州が持つ魅力を最大限に引き出したワイン。バランスがとてもよく、後味に少し苦味を感じます。ワインを飲んでいてはじめて塩焼きにした焼き魚が食べたい!と思ってしまったワインでもありました。

まさに日本文化に合わせるべき1本です。

まとめ

赤ワインに比べ、白ワインは汎用性も高く幅広いシチュエーションや料理にも合わせられ、1本あれば食卓が華やかになること間違いなしの便利なアイテムです。

赤ワインのタンニン感や苦味が苦手という人や、ワインビギナーの人でも舌に馴染みやすい味わいなので、あまりワインを飲まないという人にもとてもおすすめです。

アルコール度数も糖度もバリエーションが豊かなので、自分に合ったワインを選び、ぜひ豊かなワインライフを楽しんでみてくださいね。

ブログに戻る