ラッカアフリカの伊関です。
9月1日(日)、有楽町朝日ホールにてアフリカン・ファッションショー「Tokyo Africa Collection 2019」が開催されましたので、ラッカメンバー3名で参加しました。
会場は600名を超え満席状態。
ゆっくり楽しむという配慮から立ち見こそありませんでしたが、国内アフリカ系イベントの中で、これほどまで若者が参加し、熱気のあるイベントは滅多にないと感じるほど盛り上がっていました。
今や世界が注目するアフリカファッションの魅力をレポートにしてお届けいたします。
「Tokyo Africa Collection 2019」出店の最新アフリカプロダクトに関するレポートはこちら
アフリカン・ファッションショー「Tokyo Africa Collection」とは
Tokyo Africa Collection は、2016年に有志団体として設立され、2019年に株式会社東京アフリカコレクションとして登記したファッションショー運営団体です。
日本では知られていないアフリカ各国の魅力を、アフリカの伝統衣装や音楽を取り上げるのではなく、アフリカ各国の魅力を反映したオリジナルの衣装を制作し、日本の10-20代のアフリカ無関心層に向けたブランディング・キャスティング・企画演出を通して伝えていくことを目的としています。
2019年以降は、アフリカ・ルワンダ共和国最大のファッションショーKigali International Fashion Weekとの連携の下、アフリカ各国のデザイナーを招聘するなど、よりアフリカ関連諸団体との連携を強めていきつつ、年1回の主催ショーを継続的に実施予定だそうです。
タイムテーブル
- performer Kazho Monster
- Sahorn Design, Winnie G Fashions_in partnership with Kigali Fashion Week
- OP talk
- Tokyo Africa Collection presents_&U What is your color?
- Tokyo Africa Collection presents_Precious Step
- performer TAKUTO MARS
- AIKA presents KEEXS feat. NAME.
- Tokyo Africa Collection presents_Africa × Seasonal Fashion
- Talk show
- Special Section produced by Sayaka Akimoto
- Karssh Collections, Touch of Rwanda_in partnership with Kigali Fashion Week
- Ending
Sahorn Design
ドイツをベースに活動するルワンダ人デザイナーSandrie Horn Murorunkwereさんによるブランド。
黒とゴールド、黄色を中心として、ゴージャスでありながら、華美になりすぎないシックさも兼ね備えています。
マイケル・ジャクソンがひところに身纏っていた衣装のような、ミリタリーテイストに王のような高貴さを加え、どこかモードで、独特な存在感を帯びていました。
会場に流れていた曲はスエーデンの注目ユニットGENIUS OF TIMEのインストハウス。
大袈裟すぎない打楽器の音はアフリカの大地の鼓動を想起させ、衣装や照明の雰囲気とマッチしていてクールでした。
Winnie G Fashions
南スーダン人デザイナーWinnie Godiさんによるブランド。
南スーダンはいまだ内戦中ですが、ブランドを立ち上げ、世界を目指す女性起業家です。
単色でシンプルな衣装の一部分にアフリカのデザインを取り入れいて、異質な組み合わせが驚きや面白さを与えます。
曲の一つはKah-Lo(カー・ロー)というナイジェリアのシンガーソングライターのアップテンポなダンスミュージック。
この歌手は第59回グラミー賞でベストダンスレコーディングにノミネートされたこともあります。
&U What is your color? / Precious Step / Africa × Seasonal Fashion
このセクションでは、東京アフリカコレクションのためにゼロベースで制作したオリジナルコレクションが披露されました。
若手の日本人デザイナーが次のアフリカの国の新しい側面をイメージして作ったそうです。
対象国はチャド、マラウィ、マリ、ガボン、ナミビア、ケニア、エジプト、カメルーン、エチオピア、南スーダン。
特に、個人的に注目したのが、エチオピアでした。
写真はデザイナー・イナバさんがご担当されたエチオピア。
モデル・Shao Tianziさんの衣装は、ロリータ調のシルエットの中に、アフリカ柄が織り込まれることによって、可愛さに加えて、女性の力強さが強調されているような印象でした。
最近では、洋服に仕立てる時に布を切り出すのが難しいという理由から小さな柄も流行っているようですが、アフリカでは伝統的には大柄な模様、ビビットなカラーが人気。
そうしたトラディショナルな要素も取り入れつつ、細かな柄を取り入れたり、フリルをあしらったり、襟元を面白い形にしていたりとオリジナリティを感じさせます。
私たちがワインを販売しているため少しこじつけに聞こえるかもしれませんが、ワインの有名品種ピノ・ノワールを思い出しました。
フランスのピノ・ノワールといえば、可憐なイメージですが、この衣装はエレガントだけど、果実味があって、しっかりした南アフリカのピノ・ノワールを彷彿させました。
AIKA presents KEEXS feat. NAME.
「アフリカの"ナイキ"になる。」
虎視眈々と狙うのは、ナイジェリア起業家のJide Ipayeさん。
中所得者が増えると、靴が売れるということは予測されていて、ナイキやアディダスは実は随分前からアフリカに進出しています。
そうしたグローバル企業を受け入れつつも、自分たちで何かを生み出したいという野心家が多いのが、人口約2億人・アフリカ最大の国、ナイジェリアです。
ちなみに、2050年には4億人に増えて世界第3位になると予想されています。
KEEXSは顧客ニーズに合わせて大きめのサイズも多数取り揃えることで人気を得て、ナイジェリア国内にすでに十数店舗を構え、ビジネスを拡大しています。
と同時に、利益の10%を貧困削減のプロジェクトに使うなどソーシャルなインパクトを予め意識しています。
ナイジェリアは靴以外にも様々な分野で頭角を表しつつあります。
例えば、アフリカのアマゾンになることを目指すECサイトのJumiaはすでにアフリカ各国に進出していますし、ナイジェリアの映画産業は"ノリウッド"と言われ注目されています。
各方面で話題がつきないナイジェリア。その動向から今後ますます目が離せません。
Special Section produced by Sayaka Akimoto(秋元才加)
スペシャル・ショー・ディレクターを担当したのは元AKB48の秋元才加さんです。
事前に東アフリカのルワンダを訪れるなど準備をされていました。
トークセッションの中では、アフリカのファッションの特徴について、ビビッドな色や組み合わせ方が面白いとおっしゃっていました。
また、アフリカでの体験談で、「アフリカに行くと、自分がマイノリティになるという体験は新鮮」、「目に豊か、心に豊か、なんでも大丈夫って思えるような雰囲気だった。日本はあくせくしすぎな部分もある」と語っていました。
周囲に日本人は自分1人というのは、アジアに行っても、ヨーロッパ・北米に行っても得られない不思議な体験で、アフリカ旅は、自分のアイデンティティを見つめ直すにはぴったりだと個人的にも思います。
もっと気楽に生きればいいのにというのも、アフリカの人たちの暮らしを体験すると同感するところです。
友達や家族との時間を大切に。基本的なことですが、大事なことをアフリカは思い出させてくれます。
こちらの写真は秋元さんセレクト。
モデル・Annieさん(右)、Miki Egashiraさん(左)の衣装はスニーカーやブーツといったアイテムを合わせたストリートスタイル。そこに、落ち着いたアフリカ柄をぶつけています。
オシャレな丈感、襟元のカット、白色のトリミングが施されるなど細部にこだわりが感じられると同時に、全体のバランスが絶妙で、スタイルとしての完成度の高さを感じました。
この衣装で渋谷を闊歩していたら、振り返ってしまいそうなくらいクールでした。
Karssh Collections
ルワンダのファッションデザイナー協議会会長を務めるデザイナーKaren Uweraさんのブランド。
Karenさんはウガンダの首都カンパラでキャリアをスタートし、その後、ルワンダに移り、自身のブランドを立ち上げました。
その後、2019年5月のMercedes-Benz Fashion Week Kigali、続く7月のKigali Fashion Weekでコレクションを披露しています。
トークセッションの中で、「ルワンダの文化や現代の暮らしとリンクしたファッションを目指している」と語り、「日本のファッションの知識、技術を学びたい」と好奇心、向上心の高さを示し、アフリカ女性起業家の逞しさを感じました。
まさに、ルワンダのファッションデザイナーを牽引する存在です。
Touch of Rwanda
ルワンダの若手デザイナーShema Mukashemaさんによるブランド。
Kigali Fashion Weekなどのルワンダ国内のファッションショーで頭角を表し、その後、韓国のBusan Fashion Weekに招待されるなど国際的にも活躍しています。
単に伝統的な柄を取り入れるだけでなく、独自の形や組み合わせを模索しようという意志を感じる意欲的な作品が印象的。
デザインで世界を驚かせ、アフリカに新たな文化、産業をも生み出すポテンシャルを感じさせるルワンダの力強さが表現されていました。
まとめ
日本にとってみると、アフリカのファッションというのは、新しい香辛料を発見したような衝撃だと思います。
今後、その香辛料を用いて、私たちはどんな新しい料理を作るのか。
アフリカの素材や柄、組み合わせを、カバン、アクセサリー、靴、インテリア、デコレーションなどに取り入れてみたら、どうなるのか。
そんな無限の可能性を感じるのがアフリカのファッションの魅力ではないでしょうか。
「Tokyo Africa Collection 2019」出店の最新アフリカプロダクトに関するレポートはこちら