女性ソムリエが教えるオススメの南アフリカワイン

ラッカコーディネーター 山下 美月

南アフリカワインとは?

みなさんは南アフリカワインをご存知ですか?

フランスやイタリア、スペインなどのワインと比べると、レストランやお店で見かけることは少ないかもしれませんが、実は350年以上前から歴史があるワインです。

南アフリカワインの特徴として、美味しいワインを安く買えるコストパフォーマンス性や、南アフリカの気候がおりなす農薬使用の少ない点などが挙げられますが、何といっても一番の特徴は味わいの多様性だと感じています。

白ワインなら爽やかでフレッシュなものから樽熟されたしっかりとしたものまで。赤ワインなら軽やかでフルーティなものからタンニンのどっしりとしたものまで。その味わいの幅の広さには驚かされるばかりです。

このようなワインが作られている背景には、南アフリカがヨーロッパやアジア、アフリカなど各国の文化が加わって形成されてきた、多民族国家であることが大きく影響しています。 

今回はそんな南アフリカワインの中から是非飲んでいただきたいオススメの数本をご紹介します。

これからの季節、BBQに持っていきたいキャップ・クラシック

BBQはお肉があるので赤ワインが定番かと思いますが、何といってもBBQは熱い。そしてお肉もずっしりと重い。そんな中赤ワインはなかなか進みません。

そこでぜひ選んでいただきたいワインが南アフリカのキャップ・クラシックというスパークリングです。

 

 

キャップ・クラシックは、フランスのシャンパーニュやイタリアのフランチャコルタ、スペインのカヴァのようにワイン法で制定された瓶内二次発酵のスパークリングワインのことをいい、泡のきめ細やかさが特徴です。

伝統的に使用される南アフリカの地ブドウ、シュナンブランを使用したキャップ・クラシックは、ボリュームがあり果実味も豊か。一般的な爽やかなスパークリングも、口の中をさっぱりとさせてくれるという点で手が伸びやすいですが、それではビールとかわりません。

せっかくのマリアージュを楽しむならば、ジューシーなBBQのお肉にもタレにもマッチする果実味のしっかりとしたシュナンブランのスパークリングが合います。

また、最近南アフリカで増えているシャルドネとピノノワールのキャップ・クラシックもぜひ試して欲しい1本です。BBQ前の乾杯などに飲むときはエレガント系のシャルドネ比率の高いもの、食中のときにはボディ感のあるピノノワールがオススメです。

仲良くなりたい人にプレゼントしたい、ケープブレンド

ケープブレンドとは、ピノタージュを3070%ブレンドしているワインのことをいいます。

ピノタージュはピノノワールとサンソーを交配させた南アフリカの地ブドウですが、これが国際品種であるカベルネソーヴィニヨンやメルローと相性が良く、最近ではこのブレンドが多く見られています。

 

スパイシーさもありながらまろやかな味わいで、華やかなのに飲み飽きせず、赤系果実も黒系果実も混在しているような見事な調和を楽しめるワインです。

南アフリカでは単一品種で造られるワインが多く、ピノタージュもやはり単一で造られることが多かったのですが、ケーププレンドはそれに勝る味わいです。 

それって、とても素晴らしいことだと思いませんか。本来100%自国のブドウ原産で造るワインでも美味しかったものが、他の国のブドウとブレンドすることで更に美味しくなるわけです。 

少し話は変わりますが、人間関係でも同じようなことがありますよね。一人で進めていた仕事が、チームですることで思わぬ成果を得られたとか。一人でも楽しいけど、大人数の方がもっと楽しかったりとか。

ケーブブレンドのような自国の品種と国際品種との出会いを、人との出会いに重ねて、仲良くなりたい人にプレゼントしてみるのも素敵ではないでしょうか。 

ブルゴーニュ好きも唸らせる、エルギンワイン。プレゼントにも

南アフリカワインがプレゼント等に選ばれる大きな理由として、「安くて美味しい」という点が挙げられます。実際、南アフリカには2000円前後でありながら有名なコンクールで高評価を取っているワインがたくさんあります。

その中でも多くのコンクールで評価されており、今注目されている産地がエルギンです。

 

ケープタウンから車で1時間ほどの場所にあり、非常に冷涼な気候が特徴で、ブドウはゆっくりと成熟されながら育ちます。

リースリングやソーヴィ二ヨン・ブランなどもありますが、その中でも特にシャルドネやピノノワールはエレガントさと複雑さを兼ね備えた卓越した品質です。

高級ながらやはり美味しいワインの代名詞として君臨するブルゴーニュは、価格の沸騰もあり、なかなか手が届きにくいワインとも言えます。しかし南アフリカのエルギンの品質は、そのブルゴーニュに匹敵すると言っても過言ではありませんし、ブルゴーニュより破格の安値で手に入れることができます。

更に、エルギンワイン最大の特徴が、ピノノワールのような酸のしっかりとしたワインであっても、存在感はありながら酸の角がしっかりと丸くなっており、いわゆる「飲むのが早すぎた」といった状況になりません。

高級でスペックの高いワインにこそ、そのワインに適した熟成期間や、開封後のキャンタージュが必要になりがちなものが多いですが、特にエルギンワインは開封後すぐに本領を発揮してくれます。

大切に保存し、難しいワインが一番開いた時期を見計らって飲むというようなブルゴーニュワインの美味しさも格別ですが、好きなタイミングで飲んでもいつでも美味しいというエルギンワインの美味しさもやはり格別です。

ぜひ普段はブルゴーニュしか飲まない、という人にこそ選んでもらいたい1本です。

まとめ

南アフリカワインを飲むということは、言うなれば冒険と発見です。

多種多様な文化から生まれる南アフリカワインは、特徴というものはあるものの、やはり一言で言い表すことはできません。

ぜひたくさんの南アフリカワインにチャレンジしてみてください。あなたの好みのワインが、南アフリカワインで見つかるかもしれません。

ラッカコーディネータープロフィール

山下 美月

ワインインポーターを経て、現在出版社に勤める。好きなことは、人をワインに例えること。ソムリエ、管理栄養士。

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